ライトノベル・レビュー

ディバイデッド・フロント 1〜3巻(高瀬彼方 イラスト:山田秀樹 )

突如出現したバケモノ「憑魔」によって瞬く間に蹂躙された世界を舞台に繰り広げられるギリギリのサバイバル、それがディバイデッド・フロントです。
こういう「謎の怪物によって壊滅した〜」ってパターンはよく聞きますけどこの作品の凄いところは、そうした事態に追い詰められた人間の描写です。
徹底的に限界ギリギリなところまで追い詰めて叩き落す。そしてそこから死に物狂いで這い上がろうとする。
隔離戦線に追いやられてもなお前向きに生きようとするバイタリティー、でもやはり心の大半を覆ってしまう恐怖と絶望。
物語が一人称で進んでいるが故に感情の吐露(というか暴露)があまりにもストレートで読んでいるこっちの心にズカッとのしかかります。
「共生憑魔」という設定があるものの登場人物は皆等身大の「人間」であるというのもポイント高し。ヒーローも特殊能力者(こっちはいないとは言い切れないかも?)も存在しない。あくまで人間として戦い人間として生きる。
絶望的な状況下にあって「脆さ」も「弱さ」も全部飲み込んで一歩づつ成長していく英次。そんな英次のために少しづつ変わろうとする香奈。
滅び行く者の戦場「隔離戦線」。未来も希望もない大地で必死に生きようと抗う「人間」の物語。まさに圧巻でした。
久々に「萌え」要素抜きでもグッときた気がします(笑)

……とはいったもののまるで笑えなく萌えられないわけでもない(笑)
1巻2巻ともに登場した「宮沢脳内劇場」は大ウケでした。
次にも入れてください
紙様

3巻の感想

現実ってのはままならない。
たとえ一度勝利したとしても最後まで勝ち続けること、栄光をつかみ続ける事なんて(絶対にとは言わないが)できるだなんて思えない。
勝ったり負けたりしながらどこかで妥協点を見つけて、人はそれを享受して生きる。
そしてそれは「希望」ではなく「滅び」の物語である。
人間ってのはいつか死ぬ。つまるところ人は等しく滅びに向かって歩んでいる事になる。そしてそれが個人のことではなく世界全体で見てもそうであるのではないかと今の地球を見ているとそう思えてならない。
そして人は無意識のうちにその「滅び」を享受しようとしている。諦めとかそういうのはとうの昔に通り過ぎて。
でも人はまだ生きているし、滅びるにしてももうちょっとだけ先だろう。
なぜなら「滅び」と同じくらい人は「希望」にも恋焦がれているのだから。
がむしゃらに、ただ一念「生きたい」と願うのもまた人の本質であるのだから。
人は「希望」と隣り合わせに生き、「絶望」と隣り合わせに死ぬ。彼らはいつでも享受することができ、また同時に否定することができる。
「希望」も「絶望」も等しくあなたの側にある。どちらをとるかは自分で決める。自分で動いて決める。
今も昔も、生きるためには自分の意思で大地に立って「希望」を探し続けなければならない。


な〜んて難しい(つか青臭い)始まりでごめんなさい。
とりあえず読んで感じたことをさらりと(長いよね、ゴメン)まとめてみました。
ディバイデッド・フロントはこの3巻で終わりだけど、この物語は永遠に続く。それこそ人が滅ぶまで。それがどういう形になるのか、見届ける事は残念ながらできないけれど。

ディバイデッド・フロントには徹底的に救いの無い未来が待っている。
人類が滅びるのはほとんど決定していると言ってもいい。
それでも作中のキャラクターたちには「希望」がある。滅びる「いつか」ではなく「今」を生き抜くため、明日に繋ぐため、少しでも長く人が生き続けるために戦っている。
絶対にどうしようもないとわかっているのに、それでも「希望」にすがって戦っている。
でもそれがみっともないとか、カッコ悪いとか、そういう風には全然思えない。
死ぬのなら絶望してしまえばいい。でも生きるためには「希望」を捨ててはいけない。
そして生き抜くためには絶望を希望に変えるくらいの意思がきっと必要なんだろう。
でも皆が皆そういうものを持てるわけでもない。
だから最後の英二のセリフが光った。

「この程度がお前の絶望だってんなら、俺がお前の希望になってやるよ」

誰かが誰かの「絶望」を変えてやる。誰かが誰かの「希望」になる。
あらためて言うのもなんだけど、人間ってのはやっぱり一人じゃないから生きてこられたんだな、と思わされましたね
紙様




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