ライトノベル・レビュー

リバーズ・エンド 全5巻(橋本紡 イラスト:高野音彦)
リバーズ・エンド after days(橋本紡 イラスト:高野音彦)

「半分の月がのぼる空」「毛布おばけと金曜日の階段」などでお馴染みの橋本紡先生が送る少年少女の物語。

しかし橋本先生、本当にこの年代(10代)の少年少女の心を描くのが上手いなと思う。
このリバーズ・エンドも物語を進めるためのガジェットとしてSF要素が入っていたけど、やっぱり本質は集められた8人の少年少女の心のふれあいと変遷なんだと思う。
というかSF要素を撤廃して心に何かを抱えた子供達の物語、とした方が良かったのかもしれない。
そういった意味では謎もSFも関係ない「after days」が読んでいて一番楽しかったですね。
橋本先生は「物語は5巻でおしまい」と言ってはいました。
たしかにリバーズ・エンドの『物語』としては5巻で終わりでしょう。
でもこの「after days」抜きではリバーズ・エンドは終わらないと僕は感じました。
これは僕がリバーズ・エンドを「8人の少年少女の心のふれあいと変遷の物語」だと思っているからです。
本編読了後、もう一度普通に戻った彼らの心が見たいと強く思いました。
それだけ「物語」ではなく「少年少女」に強く惹かれたわけです

しかしまあ前情報をいくらか持ってのスタートだったわけですが、七海ファンの人が多いのがものすごくよくわかりました。
前向きで快活、誰に対しても遠慮する事が無く男女分け隔てなく誰とでも友達になれそうな少女。
でも中身は繊細で拓己に対して絶対に報われることのない好意を胸に抱える姿にジンと来ました。
拓己には唯がいて、絶対に好きになっても報われないとわかっていながらも抑えきれない、そんな描写が読んでいてとても辛く、そして感化されました。
恋愛というものは必ずしも上手く行かないものだけれど、彼女ほど応援してあげたいと思ったキャラはそうそういなかったですね。
ここまで好きになれたキャラっていうのも久々です。

なにも七海に限った話じゃなく、他の7人にしたって感情移入させるのが非常にうまいな、と感じました。
脆く、儚く、希望も何もなくて。それでも前に進んで生き延びようと手を取り合う心。
これは「心」と「つながり」を描いた作品なんだな、と読んだ後そう思いました。
紙様




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