ライトノベル・レビュー
ミナミノミナミノ(秋山 瑞人 イラスト:駒都え〜じ) 以下・電撃文庫 |
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アニメにもなった「イリアの空、UFOの夏」の秋山・駒都コンビが贈るボーイミーツガール再び。いかにして「犬が出てくる話か便所の話」(イリア4巻後書きがもう一つのイリアみたいな話になったのか?
結論から言えば「イリアがアニメになるんで似たようなものをもう一丁」(後書きを意訳)ということらしいです。私としては初めは書くつもりだったらしい「殺人幼稚園児の話」が気になりますが。つか、「EGコンバット」の最終巻はマダでしょうか?
まあ、イリアっぽい話を目指してるんで、当然内容は似たようなものに。ちょいと情けない(しかし年齢を考えれば当然ともいえる)少年と無口・無表情で何かワケありの少女のボーイミーツガールものなところも、なにやらきな臭い閉鎖空間が舞台(イリアも4巻除けば世界は狭い)なところも、女医さんがピストルもってるところも同じ。
では、ミナミノ2はイリアのデッドコピーでつまらない作品なのか?というとそうでもない。やはりこれは秋山先生の筆力によるものだと思う。では、秋山作品、特にイリアとミナミノ2に共通するものとは何か?
先ず「緻密な描写」
あたかも、眼前にその光景が浮かぶかのような文章、さりとて隙間を探すのが難しい程文字を多くして描写するのではなく、適度に比喩(卑近な例を用いるので分かりやすい)を使うのでテンポが良い。
事実、イラストは業界でも有名な駒都えーじ(別名・こつえー)氏なのに、イラストは表紙や口絵・タイトルの一枚絵だけで挿絵はない(もっともイリアはそうだがミナミノ2には挿絵が一つだけある。2ページぶち抜きでかなり豪華。しかも「はいてない」どころかすっぽんぽんです男も)
文より絵が主体という作品も少なくないラノベでは珍しい。それだけ文に力があるってことですが。
次に「無理のない人物描写と突飛な設定」
主人公の正時は8回の転校で多少スレたところあるものの感情や考え方は年相応。別に世界を救う勇者のような熱血も宗教の教祖のよな諦観もない。適度に子供、適度に大人という思春期によくいる少年の一人である。
確かにイリアと春留、水前寺とカンフーの様に多少ヘンな人物はいますが、彼らとて彼らなりの考えがあり、それを理解すればヘンでもなくなる。
また、突飛な設定も初めからバラすのではなく、普通の日常にさり気なく異質な部分を混ぜることでいつの間にか日常が異常に引き込まれていきます。前回の異常は「何か」との戦争でしたが今回のは・・・まあそれは読んでのお楽しみ。
長々と書いてきましたが要するに基本がしっかりしてるから多少似てても面白い、ってことなんですが。流石に何作も続けて同じものだとアレですが、2匹目のドジョウならOK。とりあえず1巻の最後が「な、なんだってー!!」な場面で終わってるんで早く続き読ませてください>秋山先生
(関連)
イリアの空、UFOの夏
イリア、アニメ版の公式サイト
(はろmk−II)
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