ライトノベル・レビュー

サムライ・レンズマン(古橋秀之 イラスト:岩原裕二 徳間デュアル文庫)

 古橋秀之先生が公式に許可を取って作ったレンズマンの外伝。ラノベの鬼才は古典SFの名作をどう料理したのか?

 とその前にレンズマンについて。内容は超能力が使えるようになるレンズ(名前の通りガラスレンズに似た物体。宇宙の神のようなアリシア人からみとめられて授けられる)を持つ男達、宇宙警察(みたいな)レンズマンの活躍を描いたもの。それまで宇宙を舞台にした西部劇でしかなかったスペースオペラを緻密なSF設定でいわゆるハードSFの地位にまで引き上げた作品・・・らしい。いや、恥ずかしながら読んだこと無いもんで。まあ、ぶっちゃけスペオペにおける(ファースト)ガンダムみたいな作品、位の認識でいいんじゃないかと(笑)。ファンからは殺されそうな例えかもしれませんが。

文章と映像では説得力(分かり易さ)は映像が上だと思う。無論チャチな映像よりは文章の方が優れるが、同じレベルなら映像だろう。例えば指輪物語。私はどちらも読んだ(見た)が映画の方に軍配を上げる。

 しかし、稀に同じレベルでも文章の方が勝る(のではないかと思わせる)作家がいる、本物というヤツであろう。そして、古橋先生は、こと戦闘の描写は本物だと思う。
 バカバカしいまでにハッタリ効いた設定、行間読む必要の無いくらいストレートに伝わってくる臨場感、コンマの細かさを描写したかと思えば次は急展開してる大胆さ。これは「見てきたような文章」などではない、最早「作者の考えるシーンを脳に刷り込まれる様な文章」だ。そしてそれが不快でないから始末に悪い。
 でも、展開自体は結構お約束を守るものだったりする。そんな正道と奇道の融合こそが古橋秀之の世界。

 とまあ、長々と書いてきましたが、実はこの本を評するだけなら一言で済みます。

シン・クザクかっこええなぁ

 この作品のシン・クザクは強い。どれくらい強いかというとGガンの師匠と渡り合えるんじゃないかと思うくらい強い。そしてシブい。DG細胞に侵されてなかった時のチャップマンくらいにシブい。そして、やたらハラキリしたがるところや日本を曲解したような業の数々はシュバルツのもつ妖しさに通じる
(やたら例えが偏ってますが筆者の趣味です)
 無論、他のキャラや原作のキャラも魅力的だが、悪役のデイルズは一片の同情も沸かない非道な悪役っぷりで一際輝いている。

 そんな魅力的なキャラ、そして太陽ビーム・負(ネガ)爆弾といった想像力を刺激される原作譲りのSF設定、そんなものの上に超人バトルが乗っかっているという贅沢な作品なのだ。サムライ・レンズマンは。故に言う

貴方は超人バトルが好きか?ならばサムライ・レンズマンだ!
(はろmk−II)





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