ライトノベル・レビュー

シナオシ(田代裕彦 イラスト:若月さな)

「キリサキ」と世界観を同じくする「シナオシ」
現世を舞台に<案内人>が嘲笑する……

(一応補足)
「シナオシ」は「キリサキ」と世界観を共有する物語です。
なので先に「キリサキ」を読んでおいた方が楽しめます。
また、作中ある人物が「姉が壊れた」と告白しますがそれについてはドラゴンマガジン2005年5月号に掲載された「キリサキ」の短編が元ネタです。
バックナンバーを探して読むとさらに楽しめます。
ついでにいうと先月のドラゴンマガジンに「シナオシ」の短編が掲載されていますが、それは「シナオシ」読了後に読むことをオススメします。
なぜならば結構話的に近いものがあるんで読んでるとどうしても二つの話を結び付けたくなっちゃうからです。
そうすると「シナオシ」に余計騙されやすくなります(笑)

寿命を残して死んでしまった「僕」。
しかし死後の世界で出会った<案内人>ナヴィの力によって「私」として蘇ることに。
目的はかつて自分が犯した罪を防ぐこと。
「あの人」を殺してしまったことを……

とまあ導入部については「キリサキ」とそう大差ありません。
で、前回同様ナヴィとともに謎を追うわけですが、今回もナヴィのやつが引っ掻き回してくれます。
しかしまあそれだけじゃないというか。はっきり言ってしまえば構成の妙である。
すべてをやりなおすために蘇った「僕」。その「僕」が生前行っていたことが同時進行で描かれ、それがヒントにつながるわけですが……
(重度のネタバレにつき反転)

まさか並行時間軸の出来事だったとは。
ナヴィ自身「時の流れは一方だけではない」って言っていたのでそういう可能性もあって然りなのはわかりますが、まんまと騙されました。

(反転終了)
ええ、今回も騙されました。チクショー。
結果としては「僕」が蘇ったことにより事件がややこしくなったわけで。最終的には丸く(?)収まったわけですがやはり時間と事象を捻じ曲げるとろくなことが無いなって、そう思いましたね。
しかし「キリサキ」には無かった読後のすっきり感が味わえたのでそこはよかったかなと。

で、まあ前回同様「ヒロインin野郎」だったわけですが、今回は精神が女性のそれにほぼ近いということもあってかあまり葛藤せずに読み進めることができました。
うん、僕はノーマルだ(笑)

最後にもっぺん反転で。
(こっから)
さて、最後に「キリサキ」のいづみとナヴィがゲスト出演し、ナヴィに対して「私」が「もうシナオシじゃない」と宣言するわけですが、キリサキのナヴィとシナオシのナヴィは同一人物なんでしょうか?
ナヴィという存在の不確定さ、そして今回提示された時の流れの広がりを考えればあのナヴィが二人同時に案内していたとも考えられますし、そうでないとも考えられます。
結局はどこまで考えても謎のままなんですけどね。
紙様





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