ライトノベル・レビュー

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A lollypop or a bullet(桜庭一樹 イラスト:むー)

とりあえず立ち読みしようとしているアナタ、

止めときなさい

表紙や口絵、冒頭やあとがきを読んでライトノベルを選ぶのは定石ですが、この作品に関しては立ち読みだけは絶対にしてはならない
なぜなら1ページ目にいきなりショッキングなことが書かれているからだ。もう物語を決定付けるようなことが。
200Pちょい、お値段も525円(税込)と薄めの作品なので気になったのならまず買ってみて、それから読んで欲しい。
これは本屋さんで蓋を開けるべき作品ではないと思う。

そして物語はその1ページ目の出来事を追う形で展開する。
すべて決まったこと、終わる時にはなんの救いも用意されていないことがまず分かってしまうのが非常に辛い。
そしてそれでも救いを求めて読んだ時、やっぱりどこにも救いが無いことにより二重にショックを受ける、ある意味ヒドイ作品(笑)
でもまあそれもしょうがないと言えばしょうがない。
どれだけ頑張ってみても、どれだけ抗おうとしてもやっぱり子供というのは世界に対して何にもできない。世界を動かすだけの「力」―「実弾」―が無いからだ。
豊富な知識を持ち、ある意味「神」のような存在であったなぎさの兄、友彦でさえ妹を助けるのに幻想的な神の力ではなく現実の「実弾」が必要だった。そして「実弾」を得る代償として神の視点を失うことになった。こうして「実弾」を手に入れることがある意味大人の階段を上るということなのかもしれない。
でも「実弾」を手に入れる前に、「砂糖菓子の弾丸」で頑張るしかない時期に命を終えてしまう子どももいる。
「実弾」を持ちながらそれを正しく使えない人間の手によって。大人になったはずの人間の手によって。

もう一度言おう。この話は救いの無い話である。酷く理不尽な話である。ある意味不快でさえあるかもしれない。
しかしそれはある意味当然なのかもしれない。人としてこの話にそういった感情を覚えないということの方が多分問題なのだろうから。

今この時もこの作品のような出来事が起こっているのかもしれない。
でもニュースなどでこういう出来事が報道されたとして果たして何人の人がこれを現実的に受け止める事ができるだろうか?
僕自身はあまり何も感じない。ひどいと思われるかもしれないが正直対岸の火事以上の想いはひしひしとは沸いてこない。
この作品を読んだからといってそれは多分変わらないだろう。自分の身やその回りの出来事じゃないとあまり現実感を感じることができない、それが目を背けたくなるようなことなら尚更だ。
でも僕は思った。感じなくていい。ただ忘れてはいけない。こういうことが誰かの身に降りかかっていることを、決して。
今もなお「砂糖菓子の弾丸」で必至に抵抗している子供がいることを。
普通の生活を送れる幸せを噛みしめながら、ずっと……

最後に作中の「正解してはいけないクイズ」に正解しなくてホッとしました。 
 (紙様


私はまだ未読ですが、上の文読んで想ったことでも。
「平和ボケ」ってのは悪いことのように語られること多いですが、ボケられるほどの平和があるってのは幸せだと思います。ただ、平和の裏で平和なんて夢物語としか思えないところや、平和を維持する努力が行われてることを忘れなければいいわけで(難しいけど)。とりあえずあまり今回の話と関係ないですが司馬遼太郎先生の言葉でも
「平和を維持するのは脂のぎとついた手で作業するような、不快で地味な仕事が多く、そして評価されることは少ない。260年の平和を守った江戸幕府に対する評価は不当に低い」


 以下の文章は思い切りネタバレ含むんで未読の方は戻ってください

 んでは、本文。
 自分の年を痛感した作品。いや、理解できないんですわ。親が子供に暴力振るったり、あまつさえ殺すなんてことは。現実にそういうことが起きてるのは知ってるし、事実として認識は出来るけど根本のところで理解できない。故にどーしてもこの物語を絵空事としか思えないんで。いや、初めから絵空事なんすが。年取ると、自分の理解できないものを吸収できなくなるんですよ。

 まあ、これだけだとグチにしかならないんで思ったことをつらつら。ただし、上記の通りないようについては語れません。
んで、一番に思ったのが「作者の感性は鋭い」ってこと。名前から男性化と思ってたんですが、後付読んで女性と知りました。故に女性の視点が妙にリアル。特に主人公・なぎさの年不相応な醒めた考え(兄への思いとか)と、年相応の感情(花名島への淡い想いとか)。また、文章にしばしば出てくる「実弾=生活力」のたとえなど(もっとも、リアリストの先生が実弾というのは違和感ありましたが)

 しかし、逆に高い感性持つから(感性に引きずられて)か筋を考えないようなところもアリ。例えば、犯人が分からなかったウサギ殺しとか花名島、SMに目覚めるとか。どっちも本編とはあまり関係ないような。
 それともミステリー文庫だから入れたんですかね?もしそうなら、前者はともかく後者はえらく大人なミステリーですが(笑)

 色々考えさせる作品ではありますが、一つ私としては譲れないのが

子供は親を慕うものであり、親は子に慕われる以上の愛を無条件に捧げるものだ

 ということ。理想とかじゃなくて基本だろうと。

 余談ではありますが、その後読んだ(まだ読んでる最中)「マルドゥックスクランブル」で「親からも条件に愛されたことのない子供はある一つの問いにたどり着く。それは「自分は生きていていいのか?」というものだ」ってな文が出てきてドキッとしました。そんな生い立ちを持つ少女の身で娼婦をやってるバロットが生きるか死ぬかの瀬戸際で出した答えは・・・砂糖菓子〜呼んで鬱入ってた私は救われた気分になりました 
(はろmk−II)




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