ライトノベル・レビュー

エンジェルバレット(相島 巻 イラスト:吉田 音) 以下 角川スニーカー

 セーラは焦っていた。父の消息を辿って西部に来た彼女であるが、いきなり列車強盗に襲われたのだ。いやそこまではいい、彼らは自慢の銃で片付けたのだから。しかし、彼らのボスはそうはいかなかった。というかいきなり怪物に変身するのはナシだろう。本人が言うところでは狼男らしいがそんなことは彼女にとってどーでもいい。とにかく彼女はピンチであった。どれくらいかというと衣服剥ぎ取られるくらい。このままだと健全レーベルのラノベの域を踏み越えてしまう、というところで「彼」が現れた。「彼」は颯爽と言った

「いけません!反脱ぎこそが神が我々に求めてるものです!」

セーラはヤツの股間を蹴り上げた。
そこに奇跡が産まれた。

エンジェルバレットとはそんな出だしで始まるストーリー。

 いきなりワケ分からん出だしで申し訳ないが、このエンジェルバレットはライアーソフトから出た「ANGEL BULLET」のノベライズ。ちなみに、知らない人もいそうなんで説明しとくと原作18禁ゲーム所謂エロゲです。変なソフトが良くあるエロゲの中でも一際目立つおバカな作風を得意とする孤高(というか誰もついて来ないだけ)のメーカーであります。ただ、バカオンリーかというとそうでもなく、バカが目立つ故にシリアスシーンが一際輝くという、何だかお笑い芸人がシリアス劇やると妙に感動するという構図に似てなくもない手放しでは褒めにくいが心に残る作品を排出してるメーカーでもあります。エンジェルバレットもそんな作品で、魔界と化した西部で実在の人物が活躍するというトンデモな中でリアリティを描くというデビュ−作「行殺新撰組」以来のライアーの基本となるテイストを持ってるある意味伝統に沿ったもの。

 ストーリーは上の出だしだけでは分からないでしょうから補足すると、セーラは「彼」から受け取った指輪の力で狼男を撃退。西部の魔物には彼の力なしには戦えそうにないので「彼」とコンビを組むことに。彼の名前はクラウス、職業・流しの神父、そして彼の趣味は・・・。
 指輪からクラウスから魔力を借りて魔弾を放つわけですが、当然の如くクラウスの魔力は有限。そこで魔力を補給する必要があるわけで、その補給方法がSM。しかもクラウス責められる方。何でも彼の宗教は、キリスト教とインド系の密教を融合させた性欲を力に変えるという代物(十字架は貼り付けられながらおっ立ててるキ●スト様)らしく、とある事件により機能不全に陥っていたクラウスがセーラに蹴られた瞬間に力が戻ってきたわけで・・・。まあ、そんな2人の珍道中とセーラの父を探すうちに・・・てな話。

 何と言っても、ツンデレ少女セーラとM男クラウスのコンビが良い。何しろ、不真面目に茶化してツッコまれようが、真面目なこと言ってスルーされようが、たまにドキっとするセリフ吐いて照れ隠しに殴られようが、クラウスOKというかむしろどんとこいで快感に変じてしまうわけで、その姿は正に永久機関。最近ツンデレブームだがもしかしてM男が増えてるんだろうか?

 原作との対比でいうと、結構長くキャラも多い作品を上手く整理してまとめてあるなぁと。魔力注入シーン(ドゲザータイムなんつう名前がついてますが)は原作でも笑えるエロシーンだったんで本作のようにエロくなくても問題なし。

 難点を言えば、「記憶に間違いがなければコレは原作から丸々持ってきた文章ではないか?」というところが見られたこと。いや、会話文ならともかく地の文までそのままてのはどうか。それとこれは文字を大にして言いたいのが

第1部で終わってんじゃねぇぇぇぇ!!

いや、エンジェルバレットはコメディ7:シリアス:3の第1部と、どシリアスな2部があるんですが、本作第1部で終わってます。いや2部が無いと分からんところもあるし、何よりあのEDでは誰も救われてないではないか、いや2部の終わり方もハッピーエンドとは言いがたいんですが一応綺麗に決着はついてるし。ということで、作者は第2部を早く出せ(命令形)

原作のメーカー:ライアーソフト(注:18禁

(はろmk−II)





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