ライトノベル・レビュー

TETORA(深沢美潮 イラスト:山本ケイジ )

深沢美潮先生が電撃hp誌上で連載していた近未来SF(らしい)作品を集めた短編集。

舞台は科学の進んだ東京(だと思う)。ネットもロボットも遺伝子工学も(リアルの)現代よりも数段上に行った世界。
でも科学が発展しても人はやはり人のまま。心まで発達させることはできなかったのだろうか?

一番オススメなのが最後に収録された「ファントムファーザー」。決してモ●モテ王国にあらず(笑)
人の愛は決して遺伝子に向けられる者ではない。けれど愛した人が手の届かない場所にいたとしたら?そしてその遺伝子を入手することができたとしたら(ちなみに作中ではヒトクローンは成功しています)
一人の女性の決意が、「愛」が少年の世界を歪ませてしまいました。でも少年は彼女を恨むことはできません。なぜなら彼女は最も自分を愛してくれた女性、「母」なのだから。
人は遺伝子で判別できるしその形質も遺伝子によるところが少ないとは考えにくい。しかしその人を形成するモノは決して遺伝子などではない。
人は人である。そして自分は自分でしかない。決して他者などにはなりえない。
他者になれないのだから「自分」として生きるしかない。
舜一がそう決心する過程を三上との友情を交えて描いたさまはグッときました。友達とはこうありたいものです。

ここでは触れませんでしたが「TETORA」「わたしとロボットの関係」も何か考えさせてくれます。
人の心が今のままで科学だけが発達したとき、こうしたドラマが現実の問題をなって頭角を現す可能性はゼロではないのですから…… 
紙様


フォーチュンクエストで有名な深沢先生の近未来SF小説。3つの短編から成っていて表題の「TETORA」はネットゲーム、「私とロボットの関係」は人型ロボット(セラピー用)を題材にしてます。「ファントムファーザー」は・・・ネタバレになるので書けませんが、“近”未来の名の通り、全て今ある技術の延長であり、10年後くらいの世界と言われてもそれなりの説得力あります。
 と言っても、時代考証的なとこじゃなくて人物面。「私とロボットの関係」における、主人公のやや内向的な性格がより厄介な性格のセラピーロボと接することで自分を見つめなおすことが出来たり、母の「セラピーロボと付き合うのは1週間くらいが丁度いい」というセリフは面白いです。
 時代公証的には、その頃の自転車は全部電動になってるのでは?とか、今の日本の政治形態では、収入による住居住み分けはあり難いのではとか思います・・・がまあこれは重箱の隅ツッコミってことで

 ところで、「ファントムファーザー」ではかなりグログロとなりそうな話をキレイにまとめてて好感触・・・と言いたいですが、ある人物の妄執を考えると、この話の後で「お前はあの人に似てきたねぇ、フフッ」とかなってそうです、ヒィィ。いや、かなり黒いです、本質的にこの話は。

 余談ですが、時間のない私にはTETORA(ネトゲ)はムリぽ(笑)




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