ライトノベル・レビュー

ルカ −楽園の囚われ人たち(七飯 宏隆  イラスト:巳島ヒロシ)

 第11回 電撃小説大賞<大賞>受賞作。原題は「少女禁猟区・世界で最後の1人+8」。七飯宏隆先生にとっては死ぬほど恥ずかしい原題らしいので覚えておくように(マテ)。いや、どー見てもエロゲのタイトルだよなぁコレ。

 まあ、そんなアレな原題はともかく面白かったです。250ページ程度の短さながら内容は起伏に富んでるし文章も読み易い。萌えとかはないけどまあ内容が世界で最後の一人・・てな話なんでそりゃ当然か。んで、内容は・・・

 一口で言うなら「大きなのっぽの古時計」が最後に奏でた追憶の鐘というところか。但し、古時計が見つめてたのはおじいさんではなく少女、世界で最後の人類。そして綺麗な花嫁はいないけど、一匹の犬と血は繋がってないけど家族がいて、でも古時計は見守るだけじゃなくHALみたいな性格してるもんだから何か悪巧みをしてて・・・
 ネタバレしないように書いてるとどうも抽象的になりますが、あまりネタバレするとこれから読む人の楽しみを奪うことになるんで。何となく、星新一先生のSF思い出しました。

 結局、人間は最後の一人になっても人間だよなぁと。人類を滅亡させるくらいに愚かであると同時に、それが無意味と分かっていても最後の一人を愛情もって育てるくらいに優しい。そんな彼らを見てきたからこそ彼も人間になったんだろうと。

 安易に「萌え」とか「泣き」に走らず(特に「泣き」はやろうと思えば強烈なのが出来そうなのに)、滅亡後の世界を淡々とした文章で、しかし中身は詰まってる作品。何よりこの1冊で完結してるんで安心して買いましょう(笑)
(はろmk−II)




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