ライトノベル・レビュー

DADDY FACE メドューサ 4巻(伊達 将範  イラスト:西E田)

 年の差9歳の親子が繰り広げるドタバタラブコメ伝奇ロマンアクション「DADDY FACE」。初の長編となったメドューサ編遂に完結。折角だからDADDY FACEシリーズについても語ろうかと

 ラノベは必ず一つくらいはトンデモ設定が入る。例えば「主人公は古代超文明の血を引いてる」とか「ある日突然謎の能力(主に格闘系)に目覚める」とか「突然現れた女の子に言い寄られる」とか(最後のはちょっと違う気もしますが)。一時期流行した和製ファンタジー(中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界なアレ)なんかは世界観の時点でトンデモ入ってるという点でその最右翼と言えるだろう。
 まあ、普通の小説(別にラノベは普通でないというわけではない)でもトンデモを薄めた事件は起こる。例えば殺人事件とか起こるだろうが遭遇確率は低いものが。何も事件ナシに物語をつづることは難しいからだ。

 しかし、ラノベではトンデモであることが必須なのだ。例えば、先の例に挙げた殺人事件なんかも超能力とかで起こったりするんで、ミステリ作家なら誰しも一度は考える密室トリックなんかもラノベではネタになりにくい。何しろ「外からスタンド(仮)で殺しました」で決着付くんで。
 恋愛小説〜ラノベ的にはラブコメ〜だって普通にくっつけばいいものを、世界の危機なんかに巻き込まれないと上手くいかなかったりする。奥手にも程があるというか「愛は地球を救う」じゃなくておまいらの愛が地球を危機に晒してるんじゃないかといいたくなる。

 何故ここまでトンデモ設定が入るか?それは楽しいからであろう。
 ラノベの主な講読層は中学生以上の若者(まあ私みたいにオサーンになても読んでるのもいますが)。彼らの半数は読んでるであろう少年マンガに負けないように刺激的な設定が必要だったのではないか?まあラノベと少年マンガはライバルというより兄弟という気がしますが。

 しかし、トンデモ設定はもろ刃の剣。「トンデモ」である以上ストーリーを崩す恐れがある(先の密室殺人にあるように)。また、トンデモ設定を広げすぎて風呂敷を包めなくなったり、設定解消するだけで話を費やしてしまったりする(ラノベじゃないけどエヴァみたいなもの。そーいやエヴァってノベライズされてませんよね?何でだろ)

 さて、ここでDADDY FACEの話に移る(前フリ長くてすいません)。当然のことながらこの作品にもトンデモ設定はある。しかしその数がすさまじいのだ。ちょっと粗筋も兼ねて列記すると
「貧乏学生・草刈鷲二の元に突然現れた中学生の美少女・美沙は自分が鷲二の9歳違いの娘であると告白する。そして、この美沙は世界のOSを独占するフォーチュンテラーの創始者にして会長、しかしその本業は宝探し(トレジャーハンター)。無論、探す宝だってかぐや姫に不老不死の人魚の肉に今回はアトランティス大陸と壮大なスケール。
 そんな宝探しに巻き込まれる内に、美沙には双子の弟がいて彼は世界有数の結城財閥の跡取り(美沙は家を飛び出した)で山を動かせるほどの超能力もってることを知ったり、その双子の親つまり鷲二の想い人が現在友人以上恋人未満の美貴ということを鷲二だけ知らなかったり、宝探しで敵対する組織・ミュージアムとの戦闘で衛星レーザーぶち込んで駅を一つ消滅させたり、鷲二は鷲二で普段は平和主義だけど美沙に危害が及ぶと蝦夷の無敵の拳法・九頭竜で大活躍したりetc

 とまあ、「考え付くだけのトンデモ設定入れてみました」の見本市のようなDADDY FACE。これだけのトンデモ設定を入れて物語が破綻しないのは、物語のテーマとして「家族」を主軸に置いてるからではないかと思います(無論伊達先生の文章力もあってですが)。主人公の草刈親子は勿論、各巻でも様々な親子(もしくは絆)のカタチを見せてくれます。

 とかく、野放図になりがちなトンデモ設定を家族と言う背骨で確固な物にしたDADDY FACE。これ一つでラブコメもアクションもハートフルコメディも伝奇モノも楽しめるお得なシリーズ。結構ブ厚いわりに読みやすい文章と込められた情報量はベネ。特に今回のメドューサ編は長編ながら、張り巡らせた伏線を最終巻で一つ一つ明かされていく様は圧巻・・・とまあ最後は信者入った宣伝でした。つかもう少し評価されてもいいんじゃないかと思うのですがコレ。
(はろmk−II)





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